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TITLE:インターミッション:MT開発秘話
AUTOR:団長
DATE:2003/07/02(水)00:33

団長です。
反響もないし、テンションも上がらないので、今週は3次のログはお休みです。
その代わり、3次の前に(2002年12月頃)書いたオレジェネレイション向け雑文です。

この時点で3次は団長以外もマスターをすることが判っていたので、
ロボットの機種や位置付けをはっきりさせ、
雰囲気を高めるために書いたものです。

…過去の遺物で間を持たせるともいいます。…

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 メテオ3内に残された異星の超技術を解析していたEOTI機関は、その中より熱電磁気撹乱装置(HOSジャマー)を発見する。それは超長距離からの誘導弾で蹴りをつける昨今の戦争を根底から覆すものとしてEOTI機関を震撼させた。HOSジャマーの影響下ではレーダー波や音波の波は不規則に、かつ急速に低減し、あらゆる電磁波もやはり不規則かつ急激に減衰され、そして化学反応すら妨害される。このため、目標に火力を叩き込むためには確実に敵を目視できる距離に近づく必要があり、また核兵器の有効性も薄れた。
 想定戦闘距離は、地球の形を考慮すると最大で5Km、電子照準機が無いことを考えれば通常の有効打撃距離は2Kmになると想定された。このような条件下では空飛ぶ電装品である航空機は殆ど無力化し、また戦車もその走破性などから、市街戦や山岳戦は不可能であり、これらを解決する新しい主力陸戦兵器が渇望されていた。この要求に答える兵器とは、地形走破性に優れ、戦車並みの装甲を持つ、人間並みに身軽な個人用機械化騎兵(Personal Trooper:以下 PT)であった。

 初のPTであるPTX-001ゲシュペンストRは当初から連邦の次期主力人型機動兵器として開発された。受注を請け負った時点で、マオインダストリ社にはEOTI機関によるメテオ3からの得た技術が貸与され、月面
の弱小企業であったマオインダストリ社は連邦に大きく食い込むことになった。
 PTX-001は初めからPTと言う連邦の希望した規格に沿うよう設計され、完成の暁には標準規格(Regulation Standard:以下 R)の名が冠されることが確定していた。また、その開発名称は鉄壁の情報管
制からその存在すら確定できぬようにと亡霊(ゲシュペンスト)と名付けられた。
 当初、イスルギ重工をはじめとする大企業は人型機動兵器の開発を「連邦の人形遊び」と揶揄し、歯牙にもかけていなかったが、特殊戦技教導隊によるPTX-001の実演が公開されるやいなや、その考えの甘さを噛み締めることとなった。この時、既にマオインダストリ社は次期主力機動兵器の量産権利までも独占し、他の企業による生産を封じてしまっていた。さらに、EOT特別審議会はEOT関連技術の拡散を恐れて圧力をかけ、公式にはマオインダストリ社以外での人型機動兵器の生産が封じられた。
 しかし、この政策は後に大きな負の遺産となった。なぜなら、元来生産施設に乏しいマオインダストリ社では受注を受けても必要量のPTを開発できなかったため、PTの配備は遅れに遅れることとなった。

 いち早く人型機動兵器の有用性に目を向けたのはテスラ=ライヒ研究所だった。PTX-001の開発開始時点でマオインダストリ社に共同研究を申し入れ、単騎による戦線の突破と重要拠点の破壊という過去の常識から言えば愚か極まりない理念の人型機動兵器の研究を開始した。初めから量産を考えずに作成された機体、特殊規格(Special order Regulation Standard:以下 S)の名が与えられた。なお、研究素体としてはPTX-001がそのまま利用され、この研究の成果はPTX-002 ゲシュペンストSと呼ばれることになった。PTX-002はテスラ=ライヒ研究所の好意により特殊戦技教導隊に寄贈され、そこで実戦データを収集することになった。なお、テスラ=ライヒ研究所ではその後もPTX-002を元に研究が続けられ、特殊規格巨人兵(Special order Regulation Giant soldier:SRG)の開発名称で開発が進められた。なお、この時期にSRをもじり超機人(Super Robot man)級などと呼ぶことが多くなった。
 SRGの中で最も有名な機体、グルンガストもこの時期に完成した。グルンガストはその巨体を生かし全身を構成するモジュールの位置を組替えることで従来の兵器の特性である航空機の移動力、戦車の正面突破力を有しながら、PTの柔軟な運用性を兼ね備えている。

 マオインダストリ社ではPTX-001,002の成功を元に発展系としてPTX-003を開発した。PT系とSR系の両方の特性を併せ持つ機体となるはずであったが、標準と呼ぶには暴れ馬で特注と言うには特徴の無い機体となり、明確な成果をあげることなく保管庫送りとなった。後にPTX-003はATX計画においてPTX-003Cアルトアイゼンとして歴史上に姿を表すことになる。平均的に優秀な機体に接近戦に特化した武装を組み込むことで、PTX-003Cは特定戦況下においては特筆すべき戦果を上げた。しかしこの時点ではPTX-003は失敗作と扱われ、その形式番号も試験用基準機(Test Standard:T)のままゲシュペンストTと呼ばれることになった。
 PTX-003の失敗は、マオインダストリ社に次の決断を促した。PTX-001は標準規格と呼ばれこそしているが、未だ経済性の上での量産化の目処は立っておらず、連邦の依頼には応えられておらず、このままでは予算打ち切りの上契約解除、さらには違約金の支払いにまで発展する恐れのある事態であったからだ。
 マオインダストリ社に次の決断とは、新たな可能性の模索であった。

 マオインダストリ社は標準規格を元に射撃増強型、格闘増強型、移動力増強型の三つの柱が立てられ、それぞれPTX-004,005,006の番号で開発が進められた。この開発は同時かつ競争的に進められた。当時のマオインダストリ社がいかに追い詰められていたかが窺い知れる。しかし、これによる開発の結果は芳しくなかった。PTX-004 シュッツバルトは費用対効果に優れず、PTX-005 ビルトシュバインは高性能ながらその操縦は熟練者でも梃子摺るほどのものであり、PTX-006に至っては高速形態への変形と言う基本そのものの完成度が恐ろしく低いといった具合であった。しかし、そのような状態でも連邦に成果物として納めるしかなく、これが後々までマオインダストリ社を苦しめることになる。後述するRPT-007 ゲシュペンストMk-IIが無ければマオインダストリ社の破産は必至であった。
 なお、この機体特性の分岐は後の世に非常に興味深い現象を起すこととなった。すなわち、機体種の派生である。
 また、これと並行してマオインダストリ社はPTの兵器としての完成度の向上が目指した。そもそもPTX-001から006までの機体は、兵器として見たときには使用者を選ぶ欠陥品ばかりであった。試作品という名目でマオインダストリ社はこの問題を先送りしていたが、次期主力機として採用される上では避けては通れない道であった。この問題は難航が予想されたが若き天才技術者カーク=ハミル博士の手により、極めて短時間のうちに実現された。ハミル博士は名機と名高いPTX-007 ゲシュペンストMk-IIに開発に成功した。この機体は、PTX-001で定めた規格標準に厳密に適合した上で機体耐久性能と安定性の大幅な向上に成功し、然るべき訓練さえすれば万人が操縦できる仕様に仕上がっている。ハミル博士の才覚はそれだけに留まらず、PTX-007のフレームはそのままに外装、伝送系、動力ユニットの換装のみで高機動型、重火力型への移行を可能としている。それぞれの性能特性はPTX-001,002といった初代ゲシュペンストに準拠しており、それぞれを優秀な費用対効果と操縦性を保ったままに実現している。RPT-007には集団運用と搭乗者の生還性を重視した量産基準機(Massproduct Standard:以下 RPT-007M)、高機動型(PTX-001にちなみR型と呼称:以下 RPT-007R)、重火力型(PTX-002にちなみS型と呼称:以下 RPT-007S)が有名なバリエーション機だが、その他にも水陸戦仕様型や宙間戦用仕様型や遠距離戦型、接近戦型などがある。
 この優れた特性から、PTX-007は目出度く標準規格個人用機械化騎兵(Regulation standard Personal Trooper:以下 RPT)-007の名を冠することとなった。なお、PTXに比べPTRは精度と出力を低下させ、耐久力と安全性を向上させている。これはコストのかかりがちな動力機と照準機の要求性能を、装備を高命中力拡散系実弾武装で固めることで緩和し、その余剰構造で搭乗者の生還率を高めている。これらは全てハミル博士によって提唱、実現されている。これにより、M型は費用対効果と生還率に優れた、兵器として極めて高い完成度を持つ機体となった。
 なお、一般にゲシュペンストと呼称した場合、このゲシュペンストmk-IIを指す。

 PTX-004から007までの開発で、製品と呼べる形にまとまったのはPTX-007のみであった。この事態を重く見たマオインダストリ社上層部は004から006までの担当部署にそれぞれの研究成果を基にした新設計プランの提出を要請した。さらに、それぞれにEOTI機関より新たに入手した新技術が供与された。004開発部署には加速射出砲(Rail Gun)、005担当部署には重力指導力炉(Black Hole Engine:以下 BHE)、006部署には誘導式遠隔砲塔(Guided Gun Turret)である。しかし、マオインダストリ社の連邦からの資金による強引な
開発に多くの技術者は不審を強め、情報と人材の流出が生じていた。この結果、PTX-004担当部署の主力はZ&R社へ、PTX-006担当部署の主力はフレモントインダストリ社へ向い、そこでそれぞれ人型戦闘装甲車両(Humanoids battle armered Vehicle:以下 HA)ヴァルキュリアシリーズシリーズ(Valkyrie Series)と強襲用機械化騎銃兵(Assault Dragoon:以下 AD)をそれぞれ開発している。
 なお、BHE技術のみは他社では安全の観点から実現が見送られたが、マオインダストリ社では起死回生を賭けてPTX-008ヒュッケバインを開発した。しかし無理な開発が祟りBHEは暴走、周囲を事象地平の彼方に引きずり込み消失した。しかし、ここまでの事故を起しながらマオインダストリ社には大きな罰則は課されなかった。その理由については様々な憶測が囁かれているが、現時点においては断定されていない。

 また、この事故を持ってマオインダストリ社はPT開発を諦め、その進歩は一時的に停滞することになる。
 PTX-008ヒュッケバインの失敗以後、EOT特別審議会は独自にPTの開発を開始することとなる。これはSRX計画、ATX計画に代表されるマオインダストリ社系の技術体系による決戦用人型機動兵器の開発という形で実現に移されたが、いずれも明確な成果を上げることはなかった。EOT特別審議会はやがて来る侵略的異星文明との接触に備え、旗機となるべき決戦兵器を求めていたが、この開発の失敗により対決姿勢から服従による人類という種の存続を目的とした姿勢へとその行動を切り替えていくこととなった。

 一方、EOT特別審議会の姿勢変更はEOTI機関を完全に連邦から離脱させることになる。さらにEOTI機関は、独自に人型機動兵器の生産を開始した。EOTI機関は以前から人型機動兵器の研究を続けており、この時点で既に標準規格(R)を独自に拡張した規格(L)に適合したリオンシリーズの設計を完了しており、また特殊規格(S)に適合したシオンシリーズの設計も完成に近づいていた。リオンシリーズの生産は地球圏最大の生産力を持つイスルギ重工に委託され、人型機動兵器の生産は一気に加速されることとなった。なお、シオンシリーズは民間に委託されずEOTI機関直轄の施設でのみ生産された。これはEOTI機関の総帥ビアン=ゾルダークが危険性の高すぎる特殊規格(S)の技術が広がり過ぎることを恐れたためと言われる。
 EOTI機関の一連の独立した態度は、EOT特別審議会の警戒心を刺激しさらなる武装化を促すことになる。しかし、それすらもビアン=ゾルダークの狙いの内だった。EOT特別審議会は連邦の軍事兵器開発予算を増額した。それに伴い次期主力人型機動兵器の公募が開始され、各社は新たな兵器の開発を開始し、これによりヒュッケバインMk-IIなどの強力な新兵器が生み出されることとなった。さらに、組織面ではEOT特別監査曲とその実働部隊スペシャルズなどが生まれ、人型機動兵器の運用は急速に洗練されていくことになる。

 (以下、執筆中…)




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