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TITLE:第4次OG in LLK Revival Devil-03
AUTOR:団長
DATE:2004/02/21(土)01:54

「Revival Devil」=邪神復活
 03. Edge of the submarine.
  「海底の死闘」

ヨシュア=グリオン:「シェード…お前が生きていてくれたならばな…」
ヨシュアは、元DC北欧研究所主任であった。黒く切りそろえられた髪、褐色の肌をした中東系の男だ。
長身痩躯の彼は、黒い瞳を細めて飛来する輸送機を待ち受けていた。彼が立っているのは海原の上だ。
いや、海原ではない。彼の足元には黒々とした影が広がっていた。全長200mにも及ぶその影は、機械の鯨。
グレートホエール。それが鯨の名前だった。潜水空母であるグレートホエールの艦長こそがヨシュアだ。
長身でやや細身、二十代後半、苦労人、胃炎持ちのその男は、本来司令官には向いていない。
しかし、やるしかなかった。代わりが出来るものは、彼しかいなかったから。

リュウ=サカマキ:「でけぇ…こいつは…潜水艦?」
ミレナの操縦する高速輸送船が目指した先こそが、ヨシュアの待つグレートホエールだった。
ミレナはある人物の伝手により、ヨシュアの支援を取り付けていたのだった。
着陸するわよ、と言う彼女の問いに答えるものは誰もいない。
皆、グレートホエールの巨体に息を呑んでいたか、気絶していたからだ。
アルヴィスとソウマは前回の戦闘で重傷を負い、未だ気絶していた。
グレートホエールの背が開き、高速輸送船を迎え入れ、二人はすぐさま集中治療室に運ばれた。
一方、ゼナルスはヨシュアにより拘禁されていた。素直に捕まるゼナルス。
ヨシュアはある事情からズフィルードクリスタルとアンデッドメンバーズを敵視しているからだ。
また、武装機は艦の巨大機動兵器用格納庫に運ばれた。
ミレナのたっての希望により、武装機を解析するためだった。
凄まじい勢いの展開に唖然とするリュウにヨシュアが自分たちはDC残党であることを告げられる。
そして、ある人物から武装機の保護を依頼されたという。その人物の名は、シュウ=シラカワ。
シュウの名に慄然とするリュウ。
あわててリュウは、魔装機トールフィールの通信機を利用し、ラングランとの連絡をとろうとした。
しかし、地上からラングランには繋がらなかった。その代わり、セニアというリュウの知人と連絡がつく。
セニア=グラニア=ビルセイア…彼女は魔装機の設計、整備に天才的な才能を持つ人物だ。
そして彼女はリュウの仕えていたフェイルロード=グラン=ビルセイアの妹でもあった。
彼女は地上でラングランに侵入しようとする異星人との戦闘の真っ最中であった。
リュウは彼女らを助けに行くことを決意する。
また、彼女との会話で彼はシュウの攻撃で地上に飛ばされた時、自分の時間が世界とずれたことに気付く。
彼の知る時間から、既に1年半もの年が流れていた。そして、フェイルロードが既に死んでいることを知る。
彼は、親を心配する。彼の親が、既にスペシャルズに拘束されていることを、彼はまだ知らなかった。

ミレナ=リナ:「これって…魔装機ですらないわ…そもそも、動力がないもの…これは…あぁん、燃えるわ…」
武装機と名乗ったその機体を調査していたミレナは、リュウを通じセニアから情報を仕入れていた。
セニアによれば、これはラングラン王室アカデミー本館の前に鎮座していた武人像だった。
彼は知らなかったが、それには搭乗部らしきものはあったが、稼動させられる者も長らく現われなかった。
そのため、半封印状態で放置されていたのであったのだという。
搭乗部には水晶状の球が二つあるのみであり、リュウはそれに両手を当て操縦していた。
セニアからのデータとミレナの調査の結果、エルシオンのDMTSが利用できることがわかる。
DMTS…ダイレクトモーショントレースシステムは操縦者の動きを直接機体に伝える特殊な操縦装置である。
妖しげな笑みを浮かべながら、喜び勇んで組み込みにかかるミレナ。リュウはそっとその場を逃げ出した。

アルヴィス=アイゼンシュタッド:「お兄さま…信じて…よろしいのですよね…」
グレートホエールは主戦力であるビクトル隊が別行動であるため、本来は待機任務中であった。
本拠地である海底秘密基地ドラゴンズネストに部外者を受け入れるわけには行かない。
そのため、ソウマらの傷が癒えたらすぐに出ていって欲しいと言う。
うなずくリュウ。しかしリュウが連絡を取っていた相手が相手であったため、グレートホエールで問題が起きた。
セニアと一緒にいたのは、水の魔装機神操者テュッティ、土の魔装機神操者ミオ=サスガ、そしてもう一人。
旧DC総帥ビアン=ゾルダークの娘、リューネ=ゾルダークだった。
DC残党であるグレートホエールはリューネの元に向かうか否かで意見が真っ二つに割れていたのだ。
話し合いは決着がつかず、ただ時間だけが流れていく。
瞬く間に4日が経ち、そのころにはソウマとアルヴィスがベッドから起き出せるようになっていた。
アルヴィスはヨシュアに頼み、アルフレート…彼女の兄にして、地球圏有数の影響力を持つ男…に連絡をつけた。
月面のアルフレートは、アルヴィスの無事を確認し胸を撫で下ろすが、スリサリスを奪われたことを気にかける。
彼はアルヴィスにアイゼンシュタッドに戻る様に言うが、彼女は聞かない。
ソウマは、そんなアルフレートにアルヴィスは貴様の人形ではないという。
しかし、アルフレートは轟然と言う。自己満足だと、傲慢と判っていても、自分には彼女の安全が大事だと。
彼女がどう思おうと、自分がそう感じるからそうする、というある種の哀しさを持つ一方的な独善だった。
独善だと判っていながら、せずに居られないアルフレートという男はもはや変えられないことをソウマは悟った。
かつてアルフレートはあらゆる物からアルヴィスを護るようソウマに言った。それゆえ、ソウマは言った。
今は、貴様と言う呪縛からアルヴィスを護る、と。それはアルフレートへの決別の言葉だった。
少しだけ楽しげに、アルフレートはそれを認めた。そしてアルヴィスに言った。
自分は大切なことをしなければならないから、直にはそちらには行けないが、きっとお前を護る、と。
やがて切れた通信画面の前でアルヴィスは寂しげに言った。それでも貴方を信じても言いのですよね、と。

ゼナルス:「奴らを相手にするのに、バンゲリオンなしでは辛いぞ…俺を信じろ…戦わせてくれ」
会議は踊る、されど進まず。そんな言葉を地で行くグレートホエールを揺さぶったのは異界からの怪異だった。
死霊装兵と呼ばれるヴォルクルスの意識が実体化したそれは、春か昔の沈没船から這い出してきた。
グレートホエールは瞬く間にそれに取り囲まれ、それにつられる様にデモンゴーレムが海底から現われた。
深海であろうと、地球上の何処にでも、死者の怨念は眠っている、そんな事実をつきつけられる一行。
光とどかぬ海の底とは言え、周囲は水、すなわち水の魔装機のための戦場だった。
リュウは直ちにトールフィールを呼び出しデモンゴーレムを押さえるが、死霊装兵に効く武器は少ない。
リュウを助けるために飛び出すソウマとアルヴィス。
武装機にはDMTSが取りつけられており、ソウマはそれをかつての愛機を扱う様に操れた。
拘束されていたゼナルスは、ヨシュアに言った。
自分の機体、バンゲリオンは奴らを倒すために作られた退魔の武器だと。
ヨシュアは彼の拘束を解いた。

リュウ=サカマキ:「このままだと、潜水艦を護りきれない! くぅっ! どうすれば!!」
邪神の僕たちは執拗にアルヴィスを狙ってきた。まるで彼女に何かを求めるかのように。
さらに、海上から一直線にグレートホエールに向かい沈降してくるPTが三体あった。
彼らはR−HARPOONと呼ばれる、アルブレイドを水中用に改装した機体…スペシャルズの機体だった。
彼らの狙いは武装機だった。ハープーンランチャーと呼ばれる鎖付きの銛を次々に武装機に繰り出す。
水中で動きの鈍い武装機はたちまち銛に捕まり、その電撃の犠牲となるが、ソウマはそれに耐える。
武装機の援護に行ける余裕があるものは、誰も居なかった。
それどころかゼナルスは、バンゲリオンの力を発揮する前に攻撃を受け、気絶してしまった。
包囲網を縮める邪神の使徒たち、そして武装機に迫るスペシャルズ。まさに、前門の虎、後門の狼だった。

ヒョウゴ=シオンサ=ナカジョウ:「…ソウマ、生き残るのはお前か、俺か、どちらか一人だ…」
絶体絶命の危機を救ったのは以前、ソウマに襲いかかってきた有翼鳥面の機人、風王機だった。
風王機を駆るシオンサイが叱咤する。ソウマ、貴様はこんなところで何をやっている、と。
R−HARPOONを追う様に天空から海底まで一直線に貫いたシオンサイは海底にその太刀を突き立てた。
 轟っ!
剣を中心に風が巻き、竜巻となって海を割った。海水は巻上げられ、その場は風壁で囲まれた死合場となった。
シオンサイはソウマに言った。初めからこうなる定めだったのだと、ただ時が来たに過ぎないと。
そして、ソウマは一番聞きたくなかった台詞を聞いた。その為にお前を作らせ、育てたのだと。
ソウマの中で何かが音を立てて切れた。
 絶叫ッ!    理性を失ったソウマがシオンサイに迫る。

ソウマ=シオン:「師匠! いや、シオンサイ!! 貴様は、この俺が倒すッ!!」
凍えるような青い闘気を纏い、繰り出された武装機の拳が風王機を捉えた。否、紙一重でずらされた。
立て続けに、殺気そのものの廻し蹴りは風王機を捉えた。否、風王機は残像を残し、それを避ける。
ならば、とソウマの殺気はさらに高まった。それに答える様に武装機の両の眼が赤々と輝いた。
両の腕から全てを滅ぼさんとする青白い刃が伸び、荒れ狂う二振りの刀。しかし、それも風王機はいなした。
しかし、突然パイロットのシオンサイが吐血し、膝をついた。双剣はは今度こそ風王機を捕らえた。

ヒョウゴ=シオンサ=ナカジョウ:「ソウマ! お前では、その戦い方では、俺はたおせんぞ!!」
否、やはり攻撃は届いていなかった。雷鳴が轟き、イカヅチの結界が風王機を護ったのだ。
雷鳴、雷音が止むと、風王機を守る様にもう一機の機人が現われていた…それをシオンサイは雷王機と呼ぶ。
ソウマに、今の戦い方では勝てない訳を、絶対の力の差を教えると言い放つシオンサイ。
 風雷大系、双王合身
シオンサイの声に反応するように合身する風王機と雷王機。そして翼を持つ巨大な機械の武人に生まれ変わる。
絶対的な存在、圧倒的な気配。ソウマは冷や水をかけられた様に冷静さを取り戻した。
そして、それゆえに判ってしまった。今のままでは決して勝てないと言う事に。膝を着く武装機。
しかし風雷王は武装機を攻撃せず、周囲の敵を薙ぎ払うに留めた。
そしてソウマに、一度だけ機会をやる、武装機の声に耳を傾けろ、と言い残し去っていった。
風雷王の消失とともに戻ってきた海の巻き起こす激流が一行を押し流した。

リュウ=サカマキ:「俺たちが行こう、魔装機神の護る島に」
海が閉じた際の激流で損害を受けたグレートホエールはやむを得ずドラゴンズネストに戻った。
激流が収まった後、バンゲリオンは何処にも居なかった。どうやら遠くに流されてしまったようだった。
そして、グレートホエールが治る前の間に、リューネの件の決着をつけるべく話し合いが持たれた。
その結果、まずリュウ達がセニアとリューネの元に向かい様子を調べることになった。
アルヴィス、ソウマも依存はなかった。ただ、ソウマは武装機の中で座禅を組み、師の台詞を反芻していた。

…先遣用の水中翼船に乗りこんだリュウ=サカマキは一人考えていた。
なぜラ=ギアスを愛したフェイルロードが死んだのか、世界で何が起きているのかを。
もちろん考えても答えは出ない。だから彼は進むことを選んだのだった…




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 `---第4次OG in LLK Revival Devil-03---2004/02/21(土)01:54---団長

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