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TITLE:第4次OG in LLK Revival Devil-04
AUTOR:団長
DATE:2004/02/21(土)22:53

「Revival Devil」=邪神復活
 04. Alien’s reason.
  「異星人なりの理由」


リュウ=サカマキ:「どういうことなんだろう? 俺が以前に会話した武装機と、感じが違うんだ」
ミレナ博士に邪魔と言われながらも武装機の操縦席で座禅を続けるソウマ。
実のところ、ソウマは先日から武装機の『声』を聞いていた。
しかし、それは非常に先鋭的で、抑圧的で、攻撃的なものだった。
すなわち、「風王機、雷王機なる二鬼を支配せよ!」という声だった。
さらに声は、こうも言った。「貴様は掃魔だが小角ではない、小角はなぜ二鬼につくのか」と。
ソウマは混乱した。掃魔とは、小角とは一体何のことなのか、彼にはまったくわからなかった。
ただ、彼の師であるヒョウゴ=シオンサイ=ナカジョウならば何かを知っているのではないかと考えていた。
一方、ここ数日で、ソウマと意気投合していたリュウは、彼を心配し、やはり武装機の近くにいた。
魔装機操者である彼は、敏感に武装機の声を捉えていた。しかし、それには違和感があった。
かつてリュウが会話をした武装機は、もっと人間染みた口調をしていたはずだったから。
彼らを日本に転送したときの蒼き瞳の武装機、青白い双剣を生み出した紅い眼の武装機。
それらが意味するものを、彼らはまだ知らない。

ティニクェット=ゼゼーナン:「コレさえ抑えれば、枢密院の連中にこの星の危険性を認めさせられるのだからな」
ゾウォーク。それは汎銀河共和国の名称であった。
この時点で既に、地球と彼らの接触が始まってから15年と言う年月が経過していた。
地球側は彼らを『ゲスト』と呼び、連邦政府上層部のみがその存在を認識し、一般には極秘とされていた。
その為、地球ではゾヴォークのことを知るものはほとんどいなかった。
特に全面攻撃を仕掛けてきた銀河帝国であるゼ=バルマリィ帝国の認知度が高かったという問題もあった。
このため、彼ら以外の異星人がいるなどと、夢想だにしていなかったのであった。
もっとも、ゾヴォークが地球に目をつけた理由も、まさにその帝国に原因があった。

かつて、銀河帝国の版図拡大期であった2万年以上前に、大量の無人探査機が銀河中にばら撒かれた。
それらの無人探査機にはズフィルードクリスタルと技術情報とトロニウムが搭載されていた。
この探査機の目的は、それらを解析し、利用できる兵士候補となる生物を発見することであった。
この無人探査機はネビーイームと呼ばれ、多くの優秀な兵士を帝国に供給しつづけていた。
しかし、約1,500年前に事態は一変した。帝国の力の源であったトロニウムの供給が停止されたのだ。
希少物質であったトロニウムは惑星トロンでしか産出しなかった。
にもかかわらず、その惑星トロンが星間超生命体により破壊されてしまったのだった。
この結果、ゼ=バルマリィ帝国、トロニウム不足により膨張を停止することとなった。
帝国が制御回路ズフィルードクリスタル、動力源トロニウムという技術体系に偏重していた結果だった。
この時期、折り悪く、銀河中心域を巣とする星間超生物が活動期に入ろうとしていた。

星間超生物とは、エントロピーそのものを餌とする高次元生命体であった。
エントロピーとは空間における力の偏在そのものといって良い。
星間超生命体は、その空間の力を均一化させ、その際に生じるエントロピーの差を『喰う』のだ。
厄介なことに、力の偏在とは活動そのものであると言って良い。
人間が何かを為す時、多くの場合それは『力を偏らせる』ことだと言えるわけである。
例えば宇宙空間にコロニーを作れば、そこは局所的に著しい力の偏りがあることになる。
あるいは、地上に建物を建てることすら、力の偏りに他ならない。
このため、星間超生物は知的生命体にとって宿命的な不倶戴天の敵であるといえた。
したがって、ゼ=バルマリィ帝国はその膨大な版図故に、この敵への対応に忙殺されることになった。
それは、帝国にとって初めての負けに負けが続く、恐ろしい戦いになった。
超常の生命力と空間操作能力を持つ敵に対し、帝国は補給なしという制限で戦う事を余儀なくされたのだった。
この結果、帝国の支配の緩んだ地域に別銀河の共和国、ゾヴォークが進出してきた。
これにより、帝国は星間超生命体と共和国という二つの敵と同時に戦うことを共用されることになった。

そこで帝国は、トロニウム再集素のため、過去に銀河中にはなった無人探査機の回収作戦を開始した。
当然、共和国はそれを妨害し始め、泥沼の足の引き合いが開始された。
地球に向うネビーイームをゾヴォークが発見したのはこのような経緯があったためである。
しかし、地球の運命はどの勢力も予想だにしない方向に転がりだしたのだ。
地球連邦政府がネビーイームと戦う戦力をゾヴォークから供与されるはずであった186年11月3日がその境だった。
南極で行なわれる予定であったその会談は、シュウ=シラカワによるゾヴォークへの攻撃で台無しとなる。
同刻、ビアン=ゾルダークによる神聖十字軍ディバインクルセイダーの決起により、DC戦争が勃発した。

この戦争に対する後世の歴史家による一般的な評価は以下の通りである。
すなわち、バルマーとの戦闘を苛烈で、悲惨なものにしたが、その分戦闘時間を短縮した、というものである。
DCは徹底的に正規軍を叩き、指揮系統をズタズタにした。
そしてそれと引き換えに、極一部の突然変異的に凶悪な戦闘力を持つ部隊を育て上げた。
これは、EOTが高価で軍隊全てに行き渡らないのならば、一部のエースにのみ与えるという意味合いがあった。
また、指揮系統が寸断されてもゲリラ的に戦える組織を作るという意味もあった。
この結果、DC戦争の半年後に起きたL5戦役の民間の被害は甚大なものとなった。
軍事力の吸収が狙いだったネビーイームによる行動はおおよそ的外れなものとなったためである。
軍事拠点を避け、民間施設を狙った民間人への威圧殺人に対し、正規軍がほとんど対応できなかったためである。
当然、これにより、DC戦争に対する人々の怨嗟は極めて強烈なものとなった。
しかし、テロリズム的に敵の心臓部に一撃を加えるための部隊の存在が、L5戦役の勝因であったことも事実だ。

一方、L5戦役から一年後に勃発したバルマー戦役時には、DCの戦略がまさに開花していた。
バルマーによる衛星破壊と指揮系統分断作戦および正規軍殲滅作戦は、地球の主力に大きな損害は与えなかった。
既にゲリラ化し、指揮系統に属さない大量の戦闘集団にとって、指揮系統の寸断は損害になりえなかった。
これにより、地球側は、逆にバルマーの侵攻軍の喉下にまで喰らいつく事が可能だったのである。

もちろん、その影には様々な超兵器の活躍があったことも確かである。
特に、以下の二体の存在は絶大であった。
すなわち、地球の秘伝技術とゾヴォークの技術を組み合わせたグランゾン。
それと、バルマーが宇宙中から集めた技術の粋を集めたアストラナガン。
この二体なくして、バルマー戦役での地球陣営の勝利はなかった。

しかし、これに疑問を持った男がいた。
その男の名はティニクェット=ゼゼーナン。ゾヴォークの辺境文明監査局筆頭書記官を務める男であった。
彼は次の枢密院の議長の座を狙う布石として、ゼ=バルマリィ帝国への政治的優位の確立を為したかった。
そんな時に、グランゾンとアストラナガンの本質的な類似性に気づいたのだ。
両者とも帝国の呪術的技術と共和国の物理的技術の融合によってなっている。
しかし、グランゾンには帝国の技術は組み込まれていなかったはずであった。
この点の調査は、辺境文明監査局の地球監査局長官ウェンドロの手に任された。
ウェンドロと彼の部下で地球先遣大使ニブハル=ムブハルはやがて地球の先史文明の存在に気づいた。
その文明はかつて地球に襲来した星間超生命体を超機人なる巨大兵器で撃退するが、相打つように滅んでいた。
しかし、彼らはその文明の残滓はラ=ギアスと呼ばれる惑星内亜空間に生き延びていることを掴む。
そう、例のグランゾンを作り上げた男はラ=ギアスからやってきたのだった。
そこでゼゼーナンは一つの仮説をくみ上げた。
地球先史文明は帝国の流れを汲むものであり、それを帝国が公表しないのは何らかの秘密があるからだ、と。

こうして、ゼゼーナンは独自に調査隊を編成し、ラ=ギアスへの進入を試みていた。
既に老齢の粋に達した考古学者ファンデル=マイヤルーズは、その調査隊の特別顧問として参加していた。
優秀な学者であるイェルは、地球のレイ=ラインを解析し、ラ=ギアスへの突入口をイースター島に定めていた。
しかし、ゾヴォークの行動をいち早く察したラ=ギアスの魔装機神達がこの迎撃にあたっていた。
調査隊は、その殆どが政治的一発逆転を狙う三流議員で占められていたが、ゼゼーナンは突入を強行した。
監査局筆頭書記官ゼゼーナンにとって、彼らの一票よりもバルマーへの切り札が大事だったのである。

マイルズ=ハーグリーヴス:「大丈夫だぜ、ゼナルス。俺とお前がいれば、出来ないことなんて何もないんだ!」
前回の戦いで濁流に飲まれたゼナルスは、彼を無二の親友と信じるマイルズだった。
彼は、武装機奪還の任務を続けるために、ゼナルスと自分の愛機レーベリオンを用意していた。
場所が分かるのかと問うゼナルス、マイルズはスペシャルズから奪ってきた追跡機の存在を教える。
それは、アルヴィスが病院で飲んだお茶に仕込まれていた超微細発信機の信号を受信する仕組みだった。
意気揚々と宣言するマイルズ。自分達なら、隊長の指令を必ず果たせる、と。
しかし、ゼナルスは何か別な事を考えていた。

リュウ=サカマキ:「…突破しよう!。この戦力、テュッティさん達が心配だ」
リュウ、ソウマ、アルヴィスを乗せた水中翼船は一路、魔装機操者達の護る島、イースター島を目指していた。
しかし、船のレーダーは彼らの前方で戦闘がおきていることを教える。
戦闘は、ゾヴォークとレーベリオンの戦闘だった。
アルヴィスのいる地点に向おうとしたゼナルスとマイルズがゾヴォークと鉢合わせたのだった。
飛び回る両陣営の機体による戦場は広く、避けるならば遠回りになると考えたリュウ達は強行突破を試みた。

アルヴィス=アイゼンシュタッド:「この機体、ただのADだとは思わないことね!」
再び、愛機たる魔装機トールフィールを召還するリュウ。海上戦は水の魔装機の真骨頂だ。
ソウマは悩みながらも武装機で出撃する。しかし、陸戦用の武装機は不利を否めず、船の上から敵を迎え撃つ。
アルヴィスのディアーボラも本来、陸戦の機体だが、背中の巨大な推進器が陸戦機の不利を補う。
ディアーボラの背面の四対のベクターノズルが、機体を重力の頚木から解き放つ。
しかし、アルヴィスにも急激なGがかかる。彼女は歯を食いしばってそれに耐える。
しかもそのGの中で正確な操縦が要求されるのだ。だが、彼女はそれをやり遂げる。
船を護るソウマ、飛び回り敵をかく乱するアルヴィスに安心し、リュウは敵陣に一人切り込んだ。

マイルズ=ハーグリーヴス:「異星人なんて大した事ないな!俺達の敵ではない!!」
アンデッドナンバーズの最優先命令は異星人からの地球の防衛だ。
すなわち、武装機の確保はゾヴォーク軍の殲滅まではひとまず休止だ、マイルズはそう考えた。
戦いを躊躇するゼナルスを背に、レーベリオンで敵陣に切り込むマイルズ。
レーベリオンはガーリオンと同系フレームで作られた強力な機体だ。
敵の攻撃を受け流し、逆に痛烈な一撃を与えていく。だが、ゼナルスは戦いに乗れない。
逆に敵の攻撃を受け、沈みかけるが、間一髪のところでマイルズがそれを庇う。
どんなに足を引っ張っても、つれなくしてもマイルズの友情はゼナルスに向けられていた。
ゼナルスはそれを辛く感じていた。隊長であるヒューメルを信じられず、かといって面と向って意見も言えない。
そんな自分がゼナルスは嫌いだった。

メティリル=バンダウン:「聞いてませんぞ、ゼゼーナン殿ぉぉっ!私はこんな所で死にたくないぃぃぃっ!!」
次々と敵を撃破していくリュウ、アルヴィス、マイルズを食い止めるため、ゾヴォーク側の前線指揮官が現れた。
彼は枢密院の議員であり、戦いの訓練は受けていなかったが、その機体はそんな彼にも十二分な戦闘力を与えた。
彼、メティリル=バンダウンが乗る機体はゲイオス=グルード。ゾヴォークが誇る超高性能量産機だった。
さらに彼の取り巻きもレストグランシェなど、強力な機体を用意しており、辺境の蛮族に負けるはずはなかった。
しかし、現実は無常だった。リュウの精霊力が、アルヴィスの電撃が、そしてマイルズの弾丸が彼を撃った。
次々と堕ちていくバンダウンの部下達。出世や年金のため、辺境までやってきた者たちの哀れな末路だった。
バンダウンのゲイオス=グルードにも次々と攻撃が炸裂する。もはや、彼の機体は爆発寸前だった。
マイルズが叫ぶ、とどめはゼナルスが刺せ、と。
強敵を倒すことが悩む彼を立ち直らせる切っ掛けになれかと考えたのだ。
しかし、ゼナルスのレーベリオンが放った攻撃はマシンキャノンの斉射だった。
如何に瀕死と言えど、ゲイオス=グルードの装甲は小口径のマシンキャノンでは貫通できない。
逆にゼナルスがゲイオス=グルードの砲身の前に身を晒す結果となった。
ゼナルスを狙う火砲の群れ。だが、マイルズは裂帛の雄たけびを上げながらその火砲に飛び込んでいった。
マイルズのレーベリオンが放った必殺のソニックブレイカーがゲイオス=グルードを粉砕する。
しかし、これによりマイルズは気絶してしまった。

ファンデル=マイヤルーズ:「星間超生命体が何故こんなところに!!」
しかし、バンダウンはゼゼーナンが彼に期待した働きは、既に達していた。
そう、時間稼ぎ、という彼の任務は達成されていたのだ。
味方を犠牲にしつつ、特殊装備のゼラニオは既に奥地…ラングランの門となるポイントに到達していたのだ。
ゾヴォークの超技術で作り出された擬似精神波の奏でる旋律がラングランへの門を徐々にこじ開けていく。
物理法則に従い、意思なき唄に突き動かされる次元の門に喝采をあげるゾヴォークの老考古学者イェル。
魔装機神操者達が、リュウやソウマがたどり着くより早く、ゾヴォークはラングランへの扉を強引に開いていた。
こじ開けれれた空間が悲鳴をあげ、ラ=ギアスの風が地上へと流れ込む…いや、それだけではなかった。
時空の門を通り抜け、「こちら」に現臨しようと続々と次元の回廊を進んでくる異形たちがレーダーに映る。
ラ=ギアスでは邪神サーヴァ=ヴォルクルスを呼ばれるそれをイェル…ファンデル=マイヤルーズはこう呼んだ。
星間超生命体、と…。




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[Root]第4次OG in LLK Revival Devil-01---2004/02/13(金)21:05---団長

 `---第4次OG in LLK Revival Devil-02---2004/02/14(土)01:35---団長

 `---第4次OG in LLK Revival Devil-03---2004/02/21(土)01:54---団長

 `---第4次OG in LLK Revival Devil-04---2004/02/21(土)22:53---団長

 `---第4次OG in LLK Revival Devil-05(仮)---2004/02/25(水)23:08---団長

 `---第4次OG in LLK Revival Devil-06(仮)---2004/02/26(木)20:19---団長

 `---第4次OG in LLK Revival Devil-07(仮)---2004/02/26(木)21:45---団長

 `---第4次OG in LLK Revival Devil-08(仮)---2004/02/27(金)22:28---団長

 `---第4次OG in LLK Revival Devil-09(仮)---2004/02/28(土)00:15---団長

 `---RE:第4次OG in LLK Revival Devil-10(仮)---2004/02/28(土)02:36---団長


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