ダイジェスト版(あとで綺麗に直し、台詞を加えます)「Revival Devil」=邪神復活 07. the three valet of Baral. 「三つの僕」 なにも聞きたくない。そう言って彼女は逃げた。しかし、それ自体は誰も責める事は出来ないだろう。何故なら彼女は悪意があったわけでも私欲があったわけでもない。ただ、咄嗟に叫んだだけだったのだから。しかし、その叫びが引き起こした地球圏総てを巻き込んだ戦いの引金となったのも間違いない。だから、彼女…アルヴィス=アイゼンシュタッドは逃げるしか出来なかった。 浜辺で膝を抱える彼女に明るく声をかけたのはリューネだった。彼女は何気ない調子で言った。自分も大罪人なのだと。地球総てを敵に廻し、戦争を引き起こした男の娘なのだと。彼女はリューネ=ゾルダーク、DC総帥ビアン=ゾルダークの娘なのだった。だから、リューネにはアルヴィスの気持ちが少しわかるのだった。遠い水平線を見つめながら彼女らはポツポツと、途切れ途切れにお互いの身の上を話し合った。 …機会を伺っていたが、出損ねるソウマ…。 その頃、一足先に地上に戻ったゼナルスは、相棒のマイルズに自分は隊長について行けなくなったと告げた。愕然とするマイルズ。彼は、そんなことは無いと、きっと上手くやって行けるとゼナルスを説得する。しかし、ゼナルスは黙ってうなだれているだけだった。意を決した様にゼナルスを殴り飛ばすマイルズ。そして、決別の言葉を…2度目の言葉を投げつけた。「俺は…俺は…、なんとしても地球を、人類を守るんだ!! だから隊長についていく!どんなことでもやる!それだけが、俺が人類を護るためにできることだから!! だから…だから、ゼナルスッ!! 二度と俺の目の前に現われるな!立ち塞がるなッ!! もしも、立ち塞がるならば…!俺は…!俺は…!」マイルズに背を向け、歩み去るゼナルス。「俺はッ!…もう一度、お前を殺す!!」 日が暮れても、二人の女の子はまだ浜辺に居た。突如として、周囲の気配が変わる。反射的に飛び起きる二人。風を巻き現われたのはフォルセティア…いや、フォルセティアと異星人兵器ビッグバードが融合した機体だった。それを駆るのはユリオラだった。彼女は焦っていた。バラルの座を介し、ガンエデンに力を注ぎ、衝撃波を防ぐバリアーを作り出すはずが、バラルの座がロックされてしまったのだから。しかも、彼女を守護していたヒョウゴは出かけたきり、戻ってきていなかった。彼女は薄々、ヒョウゴがこの世には既に居ないことに気付いていた。だから、御ん自ら出撃するしかなかったのだ。「鏡にして鍵なるモノよ…バラルの巫女たる私に従いなさい。 …この星を守るために、もう一度、赤子を優しい母の揺り篭に寝かしつける為に…」しかし、その声こそがアルヴィスの目覚めの矢だった。アルヴィスは叫ぶ。「人はもう、安楽な揺り篭に眠るべき時期じゃぁないのよ!一人で立って、歩く時期なのッ! 今、人は自分の力で決めて、進まなくっちゃいけないの!…それがどんなに痛くても!!」同意するリューネ。親は親、自分は自分。自分の行動は自分で決め、責任をとる。それがリューネだった。ユリオラとアルヴィスの主張は平行線。決して交わることは無い。だから、ぶつかり合うしかなかった。ユリオラの危機を察し、ユリオラを守る様に、巨大な獅子、鷲、鮫が現われる。彼らはガンエデンの僕にして、バラルの守護神。ユリオラの願いに応じ、アルヴィスを捕らえるべく吶喊する。しかし、その巨体の突進はアルヴィスには届かない。彼女にも、彼女を護る存在が居る。その守護闘神の名はシオン=ソウマ、そして彼の駆る武装機。蒼き瞳の武装機はその両腕から紫光の双剣を生み出し、巨大な獅子ザナヴ=アフの牙を受けとめていた。「俺は、ソウマ…シオン=ソウマだっ!アルヴィスには指一本、触れさせん」獅子を振り払い、返す刀で突進してきた鮫をすれ違い様に切り裂く。一撃で胴に巨大な穴が穿たれる。「…なぜ、掃魔の者が私の邪魔をするの…貴方は…ヒョウゴの代わりに私を守ってはくれないの?!」武装機の活躍に目を見張るユリオラ。思わずあげた悲鳴に、ソウマは、にべもない。「護るから従えというお前に、護ってもらおうとなどは思わん! 確かに、師匠には師匠の考えがあり、お前を護ったのだろう!だが、俺は俺の考えでのみ戦う!」ソウマの言い様に逆上したユリオラは三つの僕に武装機を集中攻撃させる。流石に押される武装機。巨大鮫ケレン=アフのはなった瀑布の如き水流がまさに武装機を押し潰さんとしたその時、地面から吹き上げた水柱が武装機を取り囲み、水流を遮った。「遅れちまいましたようですね。大丈夫ですか、ソウマさん」そんな声が逆巻く激流の中から聞こえてくる。ソウマにはそれが誰だか直に判った。「リュウか…ふん、これからが見せ場だったんだがな」水柱が割れ、現われた深蒼の魔装機トゥルーノーズ。それはリュウ=サカマキの新たな剣。決意の牙。トゥルーノーズは襲いかかる獅子に水の精霊力を叩きつけ、一撃の元に粉砕する。その間に武装機は鮫を三枚に下ろす。孤立する鷲とユリオラ。だが、彼女らにも援軍が現われた。援軍は、三人のセリアロス卿、ゼ=バルマリィの三機衆だった。しかし乗っている機体は…地球製だった。…彼らはかつてCCXチームに破れた後、原隊に戻れず、ユリオラに拾われたのだった。そして、ユリオラと親交のあったスペシャルズの高官から機体を譲り受けたのだった。恩義に報いようとユリオラの元に馳せ参じるが、逆にトゥルーノーズの全周囲精霊衝撃砲…タイダルウェーブが炸裂する。バルマーの強力な機体に慣れた三機衆は、それの直撃を受け、撃破されそうになる。彼らを庇うユリオラ。しかし、それはユリオラのフォルセティアが大破する結末となる。そのフォルセティアを回収し、飛び去る大鷲カナフ=アフ。三機衆もそれに従い、撤退していく。アルヴィスたちはそれを追撃することは無かった。アルヴィスは決めた。バラルとは、ガンエデンとは何かを知るために、彼らの言うバラルの座に向おうと。ソウマ、リュウも頷く。リュウは降魔弾の追跡を考えていたが、まずはアルヴィス達を助けるのが先だった。…過ぎたことは、悔やんでもしょうがない。だから、過ぎたことを取り戻すために、新たな道を進み出す。それが、彼らが決めた生き方、進み方だった。それが、たとえより大きな困難を生むとしても…
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