ダイジェスト版(あとで綺麗に直し、台詞を加えます)「Revival Devil」=邪神復活 09. Real intention of Specials. 「スペシャルズの真意」極限状態のソウマが放った「掃魔之太刀」は、一つの奇跡を起こしていた。その衝撃波はゼナルスの体内のズフィルードクリスタルまでもを破壊していたのだ。その事実に愕然とするゼナルス。これで彼は、名実ともにアンデッドメンバーズではなくなっていた。きっと、若干の喪失感がなかったといえば嘘になるだろう。生死を共にした友との絆でもあったのだから。だが、彼はこれでもう、本当に戻れなくなった。心身ともに消耗しきったソウマは、グレートホエールの集中治療室におくられた。そして、無理やりスリサリスクリスタルとの同調を解除されたユリオラも。あの時、大破したフォルセティアから彼女を救い出したのはアルヴィスだった。「本当…。そっくりね、私たち」優しく微笑むアルヴィス。「…ヒョウゴが言っていたわ…あなたは強い人だって…本当ね…私もあなたぐらい強ければ…」ユリオラが力なく微笑む。ユリオラは、ゴッツォに「作られた」古代バルマー人のクローンだった。地球にある、かつてバルマーから運ばれたスリサリス=クリスタルを活性化し、取り戻すために送りこまれたエージェントだった彼女は任務の途中で本当に地球をいとおしく思うようになった。だから、ゴッツォを裏切り、地球を衝撃波から守るために休止していたガンエデンを再起動させたのだった。しかし、それすらもゴッツォの狙い通りだった。彼女はガンエデンを起動させるためにスリサリスを活性化させたのだから。総て、ゴッツォの掌の上で足掻いていた自分に涙するユリオラ。ヒョウゴの言う事をもっと聞けば良かったと。それでも、アルヴィスは矢張り微笑んだ。シオンサイは、そんな貴方だから護ったのよ、と。だから、これからは私たちに貴方を助けさせて、と。それを聞いたユリオラは安心したように目をつぶる。急速に彼女の身体から力が抜けていく。思わず、壊れかけた「バラルの座」に叫ぶアルヴィス。ユリオラは貴方の為に頑張ったのよ、彼女を見捨てる気なの、と。不意に、「バラルの座」から反応がかえる。何時の間に獅子と、鷲と、鮫がそこにいた。…それだけではない、女性がいた。彼女の風貌は、何処となく、アルヴィスとユリオラに似ていた。いや、それは逆だ。彼女の名は、エンデ。かつて地球を愛し、それを破壊する決定を下した霊帝に、自らが地球に残ることでその存続を訴えた女性だった。 12,000年程前、バルマーは既に種として衰えかけていた。そこで、彼らは、生命力旺盛で闘争心豊かという類稀な戦闘種族であった地球人の遺伝情報を自らに取り込むことで、種としての再生を果たした。しかし、純血にこだわるバルマー人は当然この事実を秘中の秘として証拠隠滅を図った。それに対し、エンデを始めとする幾人かの地球人類に愛着を持ったバルマー人達により地球破壊は避けられ、代りに彼らは全ての恒星間移動・通信装置を取り上げられた上で地球で生活し、そこで死ぬことにより秘密を守ることになった。本来は、彼らは如何に長い命持とうと(バルマー人は様々な技術により寿命が1000年程度ある)、この緩慢な死刑により命脈を途絶えるはずであったが、地球は運悪く星間超生命体の進路上に位置していた。幾つかの先行体の飛来によりその事実に気付いたバルマー人達は、自分たちの技術と地球人の強靭な生命力と精神力を駆使し、彼らに対抗する武器を作り出し、また、自らを見張る番人ガンエデンを防衛機構として利用した。それこそが古代超機人であり、ガンエデンの「女神の盾」であった。 壮絶な戦いの後、洋上にあったバルマー人の海上都市は全壊し海の藻屑となるも、超機人を駆る地球人は星間超生命体の撃退に成功した。後に生き残った科学者は再び星間超生命体が来る日に備えて超機人を封印し、自らはその強力すぎる技術で地球人同士が傷つけあうことを恐れ、地下に次元圧縮装置により新天地をつくり、身を隠した。その後、その世界はラ=ギアスと呼ばれることになる。エンデはおおよそ、そんなことを語りながらアルヴィスとユリオラを優しく撫でた。「ご苦労をかけてしまっていますね、私の遠い、そして可愛い娘たち。 不甲斐無い先人でごめんなさいね。 でも、私たちは信じています。貴方たちが立派に、自分の路を生きていくことを」…エネルギー集積システム「バラルの座」からガンエデンの本体である「バラルの園」へと繋がるレイラインはある種の回路である。そこに僅かに残った信号の集合が今のエデンの正体だった。それはアルヴィスとユリオラという、きわめてエンデに近い存在が触れ合ったことで、なんとか集合できたが故に現われたささやかな奇跡だった。エンデからのエネルギーにより、なんとかユリオラは命を永らえた。一方、「バラルの座」を護っていたスペシャルズの後続がそこに近づきつつあった。スペシャルズは当初、かつてDC残党のヴィクトル=ベルクフォールに破壊された精神感応統合統制艦「ミハシラ」の応用により、衝撃波から地球を守るイージスシールドを構築し様としていた。しかし、数千人規模の人間の精神を利用するミハシラ=システムも、制御装置としては優れていても、出力が足りないことが判明していた。そこで目をつけたのが古代超機人の生命力変換システムだった。ミハシラ=システムに精神力だけでなく生命力もエネルギーに変換するシステムを組みこむことで、強力なバリアを発生させようとしたのだ。そのためのサンプルの一つとして武装機の確保を図ったのだった。 しかし、条件は変化していた。超機人は武装機だけではないこと、また、突如として現われたラ=ギアスからの侵入者に積極的に対抗している幾つかの勢力の内の一つが、グレートホエールおよび「バラルの座」勢力であることなどから、彼らへの支援が決定されていた。それはスペシャルズ最高指導者ミクトラクゥ=イチェンタ特師の決定であったが、スペシャルズと言う組織が複数の政治団体の合同により作られたという性質からくる弱点…意志統一の困難さ…により、徹底できる状態ではなかった。 特に、メギフト=トライサイル上級特将の一派は非スペシャルズの武装化を断固として見とめない意向を示しており、ミクトラクゥ特師との対立を暗黙のうちに鮮明にしていた。 このため、ミクトラクゥ特師派は秘密裏にグレートホエールを支援する必要があった。ラスリー=フォージャールはミクトラクゥ特師派のエースパイロットと呼ばれる男の一人だった。彼の今回の任務は、工作員クレイ=クラインをグレートホエールに乗りこませること。クレイと言う男は、ラスリーが見たところ、腕は立つようだがいかにも凡庸とした雰囲気を醸し出していた。しかし、工作員にとって凡庸に見えることは大きなメリットであることもまた、ラスリーは知っていた。なんにしても、彼は任務を果たすのみだった。メギフト派からはアルジャスティン=クレーバーニ等特尉が派遣された。腕は立ち、任務達成率も高い男だが、最近は一つ悪い癖がついた。…それは、自分を「エースのジョー」と呼ばせる、という悪癖だった。グレートホエールに進撃する二人の部隊。ラスリーにしても手を抜いて、メギフト派に弱みを見せるわけにもいかない。さらに言えば、「ここ」が危険なことは判っていた。なんとしてもグレートホエールをここから立ち退かせねばならなかった。一方、「エースのジョー」は気楽なものだった。彼にはパイロットとしての才能があり、それ以外に性能がなかった。いわば、天性の軍人であり、それ以外に生き方を知らなかった。だから、命令通りにやってのけえるのみだった。その上、自分が活躍できれば、文句ない。前回の傷もいえない一行は、二人の部隊を押さえきれない。アルヴィスはユリオラから受け継いだスリサリスを組みこんだPTX-009-SC ヒュッケバイン=スリサリスを駆り、一人「エースのジョー」に立ち向かう。それを追い、XAN-004 シルバリオンで出撃するゼナルス。ラスリーの部隊は、リュウが一人で退きうける。魔装機の常識外れの戦闘に舌打ちしながらも、巧みに攻撃を逸らし、逆にリュウを足止めするラスリー。リュウをすり抜け、クレイの機体はグレートホエールに辿りつく。そして彼は躊躇なく機体を捨て、単身グレートホエールに侵入した。さらに、後方からスペシャルズの量産型特機RSR-01 ギガンイージスの群れが迫る。防ぎきれないと見たグレートホエール艦長のヨシュアは強行突破を敢行。一行を回収し、海中へと進んだ。スペシャルズは追ってこず、彼らはなんとか逃げ延びた。…しかし、彼らは知らなかった。 スペシャルズの部隊は、バラルの座を破壊しようと押し寄せる星間超生命体を 迎え撃つためにそこに終結していたことを。 そして、むしろグレートホエールを助けるために、追い出したのだと言う事を。 もっとも、単なる親切心のみで彼らを助けたわけではないのだが。 彼らにしか出来ないことがある、だから、助けたのだった…。
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