Circle LLK

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TITLE:第四次Original Generationの完結
AUTOR:団長
DATE:2004/11/08(月)23:54

団長です。
皆様、一年間ありがとう御座いました。
また、下で開始前の檄を飛ばしてくださったLOSTさん
ありがとうございました。

いろいろありましたが、
全52話(!)の第四次スーパーロボット大戦
オリジナルジェネレーションin LLKは無事に終了しました。

今回の書き込みは、まず最後のまとめとして、
エピローグと全話リストだけを
アップさせていただきます。


[エピローグ 〜ビクトル=ベルクフォール〜]

 セリンの駆るヘンシル=ゲイルレズが放った液体金属の槍を強電解で射出する超絶武装「グングニル」の二連射により眼前のフィールドが破壊され、銀河中心域の、そのさらに中心がビクトル=ベルクフォールの視界に入る。
 彼は、己の愛機アルトヴァルシオン=リーゼに格納された「木星爆弾」を取り出し、轟然とそこに殺到する。
モニターにはGMTOと同一化したユーゼス=ゴッツォの巨大な顔が映し出される。
驚愕に引きつるその表情や気配は、いままでユーゼスが見せたどの姿よりも人間じみていた。
しかし、もはやユーゼスは、ビクトルにとって許すべからざる存在へと変貌していた。
「これで終わりだぞ、GMTO!」
重力結界を全開にし、銀河の中心に陣取るGMTOに「木星爆弾」を叩き込む。
そして、重力を反転させ急速離脱。
…離脱…できない?!
信じられない光景だった。全長200mを超え、二基の縮退炉と時流子エンジンを備えたアルトヴァルシオン=リーゼが指先一つ動かせなくなっていた。それはGMTOと一体化したユーゼスが、この場の濃密なレイラインを利用して空間そのものを固定した結果だった。さしものアルトヴァルシオン=リーゼも宇宙そのものともいえる空間を引き裂くことは出来なかった。

 「空間ごと」縫いとめられ、動きを封じられたのはビクトルだけではなかった。
その場の全員が動きを封じられていた。最期を覚悟したユーゼスはこの場に突入した銀河の知的生命体の連合軍を道連れに、「木星爆弾」を爆発させるつもりだった。
焦るビクトル。
彼が救おうとしていた、若者達の未来をこんな形で潰させるわけには行かないからだ。

 いや、例外は居た。宇宙そのものともいえる空間を引き裂き、全身から火花や電撃を発しながら敢然とユーゼスに進んでいくSRX。宇宙最強最悪の動力炉トロニウムリアクターを装備したその機体は、超人的な技量でそれを制御するライディース=F=ブランシュタインの手により臨界ギリギリの一線で稼動し続け、そしてその発生したエネルギーを同じく超人的な念動力を発するリュウセイ=ダテの力をもって、文字通り「空間を引き裂きながら」歩いていく。
もちろん、そんな動きはSRXでさえ想定されていない無謀なものだ。それゆえに、その身は一歩進むたびに朽ちていく。しかし、彼らは歩むのを辞めない。
念動フィールドで、爆発を押さえ込み他の人々を救うために。
おのれらの命と引き換えに。
そして、ビクトルには「それ」も受け入れらない。
なぜなら、リュウセイもライも、救うべき未来のある若者なのだから。
何とかしなくてはならない!!

…動ける者はもう一人居た。そいつは「空間を引き裂く」ことなく「飛び越える」能力を持つ機体。
T-Linkダイブ機能をもつアレクシス=ディーのGRVであった。
GRVは素早くビクトルの元に飛び込むやいなや、ユーゼスに取り付きインフィニティ=シリンダーを開いた。
それは、霊帝の素体となる者が開ける究極の空間制御能力を意味していた。
ユーゼスとアレクシスの壮絶な霊帝としての力の比べ合いが始まり、そして、二人は木星爆弾ごと消えた。
一瞬遅れて、文字通り銀河を揺るがす大爆発が起きた。
それは、銀河から遥かに離れた地で起きた。
アレクシスは、そこまで空間を跨ぎ、そこで木星爆弾をユーゼスごと爆発させたのだった。
やがて、ゆっくりとだが確実に、銀河中のレイラインが満ち始める。
GMTOとなっていた生命力が、レイラインに戻っていくためだった。
消えたアレクシスと引き換えに。

 血が飛び散るほどの勢いでコンソールを殴りつけた音が、アルトヴァルシオンのコクピットに響く。
と、そのときスピーカから声が聞こえた。
「僕の声が聞こえるな?」
それは。メルバー星で助けたリュウ=サカマキの声だった。
ビクトルにはまったく判らない不思議な力で仲間を助け、そしてアレクシスと共に戦ってきたその青年は続けて言った。
「君なら飛べるはずだ!僕が導く、だから君は…翔べ!」
周囲の仲間達も、それに応じるようにリュウを通じてアレクシスに声をかける。
ビクトルも思わず叫んだ。

「アレクシス、お前も俺の守るべき、未来ある若者なんだ!
 戻って来い!!」





…結局、アレクシスはビクトルたちの前には帰ってこなかった。
しかし、ビクトルには何故だか判っていた。
アレクシスはこの銀河のどこかに戻ってきて、元気にしているだろうことを。
これから続く戦後処理と再建活動にこの戦いの英雄として忙殺されるであろうビクトルは、アレクシスに会うことは二度とないかもしれない。けれども、ビクトルはそれで良かった。
 なぜなら、アレクシスはきっと己の選んだ路を歩き、未来へと進み続けているのだから。



■邪神復活編
第01話 「地底より来たりし者」
第02話 「蠢く策謀」
第03話 「海底の死闘」
第04話 「異星人なりの理由」
第05話 「開かれた大いなる門」

第06話 「降魔弾奪取」
第07話 「三つの僕」
第08話 「その名は武雷王」
第09話 「スペシャルズの真意」
第10話 「海より目覚めし者」

■混迷宙域編
第11話 「戦機を狩る者」
第12話 「悪意ある秩序」
第13話 「奈落より来るモノ」

第14話 「守護者アルトヴァルシオン」
第15話 「アードラーの亡霊」
第16話 「アルフレート、決断す」
第17話 「総司令ラオデキヤ」
第18話 「星を超える想い」

■志士統一編
第18話 「人造の新人類」
第19話 「はじまりのもの」
第20話 「奈落からの呼び声」
第21話 「大邪神撃滅作戦」

第22話 「地球人抹殺宣言」
第23話 「SDX浮上」
第24話 「唄が繋ぐ心」
第25話 「イージスの輝き」

■帝国航路編
第26話 「殲滅者アイン」
第27話 「リュウの迷い」
第28話 「胎動する策謀」
第29話 「最強の邪神機」

第30話 「修羅の挑戦者」
第31話 「ラングラン壊滅」
第32話 「大いなる大河」
第33話 「星喰いの魔獣」
第34話 「帝国への路」

■霊帝現臨編
第36話 「襲撃、アレクシス」
第37話 「アンセスターの挑戦」
第38話 「悲劇の戦士」
第39話 「ズフィルードの真実」

第40話 「炎刃騎兵」
第41話 「もう一人のアイン」
第42話 「魂の拳」
第43話 「霊帝ト呼バレタモノの最期」

■神々の黄昏編
第44話 「枯渇する龍脈」
第45話 「外なる星を守るため」
第46話 「怨念の再臨」
第47話 「狂科学の終焉」

第48話 「進化する脅威」
第49話 「ただ、友の為に」
第50話 「銀河中心障壁」
第51話 「最期の戦い」
第52話 「神々の終焉」


[エピローグ 〜アレクシス=ディー〜]

「へっ…こんな風景を見るのは、地球人ではオレが初めてだろうな」
 アレクシス=ディーは、誰ともなしにそう呟いた。
アレクシスの眼下に広がる光の渦は、銀河と呼ばれる恒星の集合体だ。
それら一点一点が命を育み、そして葬る無限に続く生の輪廻を司っているのだ。
しかし、そんなことは彼にはどうでも良い事だった。
なぜなら、その光は、彼が生まれる何万年も前のものなのだから。
彼が漂っているその場所は、銀河中心域から見て、銀河水平面に対して垂直方向7万光年の空間なのだ。

「さ〜て、軽くドライブとしゃれ込むかな?」
 彼は共に戦ってきた愛機に装着された追加モジュールを切り離した。
愛機には砲撃強化モジュールと機動強化モジュールが追加されており、頭頂高40mクラスの巨大人型機動兵器として機能していた。追加モジュールを切り離すと、愛機は元の姿である、18mの人型機動兵器に戻れる。
そして、機動強化モジュールに跨る事でライダーモードになる。
 18mの巨人を乗せた同様に巨大なモーターバイクのエンジンの調子は上々だ。
後に残す砲撃強化モジュールを一瞥し、今までを労う。そして縮退炉をゆっくりと停止させる。
その炉は数年をかけてブラックホールとなり、やがて消滅するだろう。
 それに巻き込まれる前にと、軽くグリップを回し、眼下の銀河に向けて疾走を開始する。
あまりに遠い道のり。
決して辿りつけない道のり。
それでも、不思議と悪い気はしなかった。
 なぜなら、彼は自分が望み、自分の意志で、自分が選んで「ここ」まで来たのだから。

…声が、聞こえた。
共に戦った仲間の声だ。
「僕の声が聞こえるな?」
その声は、はっきりと聞こえた。
バルマー星系への道のりで共に戦ったリュウ=サカマキの声だった。
そして、声は続けて言った。
「君なら飛べるはずだ!僕が導く、だから君は…翔べ!」
愛機であるR-V=Rの特殊機能、空間を超越し、仲間の元へと向かうための翼、T-Linkダイブ機能が強制的に立ち上がる。隔絶された空間に届いた仲間の声を、驚異的な精度で拾ったのだ。
それは奇跡ではなかった。
アレクシスがここに居る訳、すなわち、銀河のレイライン(龍脈)の再循環により、レイラインの流れが活発になったこと、そしてアレクシスが異常化したレイラインである星間超生命体…GMTOのコアをここまで引きずり出した際に残った、移動の残滓があったことが、リュウの声を届かせたのだ。
それは偶然の奇跡ではない。
積み重ねた行為が為した必然の驚異だった。
しかし、遠い。絶望的に遠かった。
精々10Kmを超越することすら容易でないT-Linkダイブにとって、7万光年は文字通り天文学的数字だった。
だが、アレクシスは諦めるわけがなかった。
その理由には、「彼がアレクシス=ディーであるから」以上のものは必要なかった。
そして、それが故に次の声が聞こえた。
共に過ごした仲間の声が聞こえる。
生き方を示した師の声が聞こえる。
これから一緒に歩く人たちの声が聞こえる。
今まさに銀河中に還元されんとしていたレイラインから、ほんの少しだけ、そう、一笑に伏せるしかないような極微量の力がアレクシスに伸び、彼を銀河に生きる一つの命として包み込んだ。それは、レイラインが元の大河に戻る前の僅かな時間の間だけ可能な、ささやかな波だった。しかし、アレクシスにはそれで十分だった。
ありったけのブースターチップをばら撒き、渾身のT-Linkダイブ。

……光が…弾けた……。


 結局、アレクシスは飛び出した元の場所である銀河中心域には戻ってこなかった。
ただ、地球に残っていた人たちは見た。
何処までも青い海の上の、突き抜けて蒼い空を裂いて飛ぶバイクレーサーの姿を。
彼は神になることも、英雄になることも拒絶した。
神になり、レイラインを見守る義務があったにもかかわらず。
英雄になり、人々をまとめる責務があったにもかかわらず。
無責任の極みである事は間違いない。

それでも、それは仕方なかったのかもしれない。


なぜなら「彼はアレクシス=ディー」なのだから。




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