皇子です。団内では周知の通り、斑鳩はMMRが大好きです。あのマンガを読んだ後のえもいわれぬ、後味と脱力感。そして、いかな真実も虚実に思えてきてしまう内容。読んだ者の正気を奪い、魔の領域へ導く書が魔導書であるというのなら、MMRもその端に掛かる程度だが、魔導書ではないかとおもう。 コレを読んでいる方々が「MMR」と言われ思い浮かべるのは、キバヤシ率いる「なんだってぇ?!」な一団だと思う。しかし、実はMMRは… もう一つ存在している!それは、1996年にフジテレビ系列で放映されていた「木曜の怪談」という枠で様々なドラマを流していた郡の中にあった。 「MMR未確認飛行物体」…ノストラさんの創世記そっちのけで、リトルノーズグレイと渡り合う正義の一団。それが中山秀征演じる「クルブシ」率いるテレビ版MMRである。マガジン編集部内で“人類の滅亡”の謎に挑んでいる独立編集チーム(みそっかす、窓際… そんな言葉が頭をよぎる…)といった設定は一緒であるが、読者から寄せられた情報を元にあらゆる怪異に挑み、行き着く先が必ず 「グレイによる地球侵攻の一端だったんだ!」リトルノーズグレイ… 思いっきり悪の宇宙人です。時にはMMRへ対し直接攻撃もしてきます。催眠光線、洗脳、ボディスナッチ… 激しくアクティブです。キバヤシが妄想で敵を作り上げ、恐怖と不安を読者へ振り撒く事に終始全力を尽くすマンガ版と違い、テレビ版は戦うのです。(コレはどちらが良い悪いではなく、マンガとテレビの差だと思って頂きたい)しかも、96年後半の第2期シリーズでは、(あったんですよ… 1期と2期が…)グレイの人類洗脳計画を暴きそれを阻止せんとした激闘の末、 クルブシが戦死します。さらにその後、グレイの侵略を人類に知らせた宇宙存在「バシャール」によって火星へと導かれ、宇宙の真理に触れ、安息を得るという、もはや雑誌編集である事など忘れ去って久しい展開がみられます。コレで終わった… と思いきや、この戦いには続きがります。97年に放送された前後編のスペシャル版。 バシャールの妨害により地球から手を引いたかに見えたグレイの地球侵攻が再び始まる。それを察知したMMRは再び活動を再開。グレイの魔の手より地球を救う為、調査を開始する。クルブシを欠いたMMRではあったが、徐々に謎を解きグレイが何らかの目的で潜伏している無人島までたどり着く。そこに待ち構えていたモノ。それは隠されていたグレイの戦艦!それを目の当たりにし、遂に絶体絶命の危機へと陥ったMMR前にあの男が姿を現す。クルブシ… 彼は帰ってきた、そして! ビームクルブシの放った光線はグレイの戦艦を撃墜。MMRは窮地を脱する。その後、MMRメンバーと合流するクルブシ。彼にはグレイとの戦いで命を落とした後、バシャールに導かれ火星へいった以降の記憶がない。どうやって火星から戻ったのか、先程放った光線は何なのか、一切を憶えていない。しかし、そんな些細な事に構っている時間は彼らにはなかった!再び侵攻を開始したグレイの驚異から人類を救うべく、MMRはその怪異に挑んでいく… 以上が前編。この後もグレイによる講談社乗っ取りとか、バシャールの巫女の様な少女の存在など、痛さとおもしろさが入り乱れた暴走ドラマが続くのだが、詳細な流れを忘れた為、放置。 雑誌編集者がビームを撃つ様になるかなり斑鳩好みな話である訳だが… ふと思い返してみる。クトゥルフシリーズに似たものを感じる。 例えば、マンガ版MMR。人類を滅亡へ導く驚異の全貌を読者に事細かく解説し不安を煽るだけ煽っておきながら、解決策、回避法は追求しない。ラブクラフトによるクトゥルフ神話も怪異の謎を解き、一応の解決は見るモノの根本的な解決が成される事はない。何となく似た空気を感じる。 対してTV版MMR。驚異を分かり易く目に見えるモノ(グレイ)に限定し、人類vsグレイの戦いを描く。明らかな対立図式はダーレス系クトゥルフを彷彿とする。それに拍車を掛ける宇宙存在「バシャール」。ダーレスにおける旧神「エルダーゴッド」のようである。(さしもの旧神もビームは撃たせてくれないが…) と言った観点に取り付かれて色眼鏡でみるとMMRもなんだか壮大で荘厳な物語に見えてこなくもないかも知れません。 以上、TV版からMMRにはまった皇子でした。追記:信じるなよ。こんな話、狂信的クトゥルフ・ファンの前でいったら、何嗾けられてもられても、文句言えないぞ!ネタは笑って読み流せ、ナタは躊躇わず振り抜け。
[Root]くだらな考察 〜クトゥルフとマガジン・ミステリー・ルポルタージュ〜---2004/03/10(水)17:09---皇子